民芸――。小石原焼きの窯元の中で民芸にこだわり尽くしたのが太田熊雄・太田孝宏の陶芸です。この民芸品を広島市南区で触れたり買ったりしていただける場を設けました。

 太田熊雄・太田孝宏の陶芸をひとことで言えば「ふだんの暮らしの中でふつうに使う、土から手で生み出された逞しい器」でしょうか。

 いつ買ってもどこで買っても同じ工業製品は何となくのっぺらとした感じで、顔がありません。でも、太田熊雄・太田孝宏の器にははっきりとした顔があります。職人が魂を込めた何かが立ち上ってきます。

 そんな器をふだんの暮らしで使う。これほどぜいたくなことはありません。

 新型コロナ騒動で人間の距離が遠くなっています。人間は機械ではありません。人間は人間の中で生きることで癒やされ、喜び、安らぐことができる生き物だと思うのです。

 人間を感じさせる陶芸の品々をおそばに置いて、人間の息遣いを感じてみませんか。新型コロナにささやかに対抗する人間復興の一歩になるに違いありません。